Press Release

標題:
JAXAと液化酸素(LOX)に対する材料の適合性評価手法の共同研究を開始 ~液化水素運搬船・水素燃料船の設計合理化に向け、新たな知見を探求~

2024年4月17日

一般財団法人日本海事協会(ClassNK)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と船舶用材料の液化酸素(LOX)に対する適合性評価手法確立に向けた共同研究を開始しました。LOXが発生しうる液化水素を取り扱う船舶の火災事故の抑制と合理的な材料選定への貢献を目指します。

脱炭素社会におけるクリーンエネルギーとして期待される水素のサプライチェーン構築に向け、大規模かつ効率的な輸送を可能とする液化水素運搬船の開発が活発に進められています。液化水素は船舶の次世代燃料候補としても注目を集めています。

極低温の液化水素の格納状況によっては、周囲の空気が沸点以下まで冷却され、LOXが発生する可能性があります。LOXのような高濃度の酸素は強力な支燃性を有し、衝撃等により材料が発火する危険があることから、液化水素運搬船に用いられる材料の安全上の懸念として、国際海事機関(IMO)の「液化水素ばら積み運送のための暫定勧告*1」でも指摘されています。本会が発行している「液化水素運搬船ガイドライン」では、液化水素により大気との接触面が極低温となるタンク、配管、圧力容器、機器の材料について、LOXへの配慮を要件として定めています。

今後増加が見込まれる液化水素を取り扱う船舶の合理的な設計に貢献すべく、本会は、LOXをロケットの燃料として用いる航空宇宙分野での知見を収集してきました。さらなる検討を進めるべく、この度、LOXの安全な利用に関わる豊富な知識と経験を有するJAXAとの共同研究を行うこととしたものです。船舶分野に適したLOX適合性(LOX環境下で衝撃を受けても燃焼しない性質)の評価手法を確立すべく、船上の利用環境などにおける材料のLOX適合性に関わる課題の抽出、対策の整理、試験による検証に取り組みます。

以上

*1 MSC.420(97) INTERIM RECOMMENDATIONS FOR CARRIAGE OF LIQUEFIED HYDROGEN IN BULK

関連プレスリリース:「液化水素運搬船ガイドライン(第2.0版)」を発行
https://www.classnk.or.jp/hp/ja/hp_news.aspx?id=10185&type=press_release&layout=1

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