Press Release

標題:
大型コンテナ船へのアンチローリングタンク適用拡大に向けた共同研究契約を締結 ~過大な横揺れの軽減により運航の安全性と積み付け効率を向上~

2024年4月5日

一般財団法人日本海事協会(ClassNK)は、日本シップヤード株式会社、株式会社IMCと大型コンテナ船に搭載されるアンチローリングタンク(ART:Anti Rolling Tank)の安全性および性能評価の確立に関わる共同研究契約を締結しました。

アンチローリングタンクは、船の横揺れ角を減少させることを目的として設けられる装置で、タンク内を水などの液体が移動することにより、横揺れを軽減させます。船体動揺の低減によるコンテナ積み付け効率の向上や、コンテナ荷崩れ事故の一因とされるパラメトリックロール*1抑制への期待から、大型コンテナ船への搭載検討が進んでいます。

本会では、「パラメトリックロール対策に関するガイドライン(第1.0版)」*²において、ARTを搭載した船舶にノーテーションを付与するための要件を定めています。また、2023年に実施したARTに関わる研究開発*3では、水槽試験でのパラメトリックロールおよび通常のロール(シンクロナスロール)に対する減揺効果の確認とデータ収集を行いました。

大型コンテナ船へのARTの適用拡大に向け、大型コンテナ船の開発で世界をリードする日本シップヤード、ARTの設計・販売実績の豊富な株式会社IMCと本会は今般の共同研究契約を締結しました。これまで得られたデータと各者の知見を活用し、より安全なARTの実船適用および性能評価の確立に取り組みます。共同研究における各者の役割は次の通りです。

日本シップヤード・大型コンテナ船に対するART搭載の最適配置設計
IMC ・ART搭載による横揺れ減揺効果の実証
ClassNK ・ARTの評価方法の確立
・より実用的かつ具体的な要件でガイドラインや規則を更新

本会は、今後も業界のフロントランナーとの協業による成果を活用した合理的な基準策定などを通じ、コンテナ船の安全運航への貢献に努めてまいります。

以上

*1 船の横揺れ周期と波の出会い周期が一定の関係になった場合に横揺れが増幅する一種の共振現象

*2 関連プレスリリース:コンテナ船などの安全かつ効率的な運用確保に向けた基準を発行
https://www.classnk.or.jp/hp/ja/hp_news.aspx?id=9382&type=press_release&layout=1

*3 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所と実施。ARTの作動状態と非作動状態を切り替えられるコンテナ船の模型を用いて、水槽試験を行い、パラメトリックロールおよび通常のロール(シンクロナスロール)に対するARTの減揺効果を確認するともに、評価のためのデータを取得した。

参考:
・ART搭載コンテナ船イメージ図(黄色で着色した箇所がART)


・パラメトリックロールによる横揺れへのART効果検証
水槽試験画像


水槽試験動画
https://youtu.be/NJV8KoQMgHE

ClassNK - EOD

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