Press Release

標題:
飯野海運に対して、Zero-Emission Accelerating Ship Financeに基づく評価ならびに同社への融資を実施 -船舶の低・脱炭素燃料転換に向けた取り組みを支援-

2024年3月8日

飯野海運株式会社
一般財団法人日本海事協会
株式会社日本政策投資銀行

株式会社日本政策投資銀行(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:地下誠二、以下、「DBJ」)および一般財団法人日本海事協会(本部:東京都千代田区、代表理事会長:坂下広朗、以下、「ClassNK」)が共同運用するZero-Emission Accelerating Ship Finance(以下、「本プログラム」)に基づき、ClassNKは、飯野海運株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大谷祐介、以下、「飯野海運」)が保有するアンモニア燃料船化の基礎認証を受けて建造されたアンモニア運搬船「GAS INNOVATOR(IMO番号:9958688)」(以下、「本船」)に対して評価を実施し、DBJは、飯野海運に対して融資を実施しました。

本プログラムは、脱炭素化に向け環境規制が強まっていく海運業界において、DBJとClassNKが共同開発した総合スコアリングモデルにより、「脱炭素・環境配慮性能・先進性」という観点でClassNKが船舶の評価を実施し、DBJが投融資を提供することで、海運事業者の脱炭素への移行に資する取り組みをIR面・資金面から支援するものです。

飯野海運は、長年にわたりLPG・アンモニア・LNGなどの液化ガス輸送に従事しており、近年は次世代燃料船の整備を進めるなどより環境に配慮した持続可能な輸送の実現に向けて注力しています。本船は、現代尾浦造船(本社:韓国ウルサン市、CEO:Kim Hyung Kwan)で建造され、2024年2月に飯野海運へ引き渡された、将来的にアンモニア燃料への切り替えにも対応可能な環境負荷低減型のアンモニア運搬船となります。

今回の本船評価にあたっては、以下の点を高く評価しました。

(1) アンモニアへの燃料転換のための改造を想定して設計(アンモニア燃料レディ)されたことで将来的にゼロエミッションの実現が可能となる点

(2) 国際海事機関(IMO)のエネルギー効率設計指標(EEDI)*フェーズ3を規制の強制化に先んじて達成し、また、IMOのNOx3次規制に適合している点

(3) 船尾管において潤滑油を空気により海水に接触させないエアシール構造を採用することで海洋汚染への配慮がなされており、また、シップリサイクルインベントリの保持により解撤時の環境配慮もなされている点

その結果、本船は、本プログラムにおける「脱炭素・環境配慮性能・先進性が高いと評価できる船舶」として、相応の環境関連投資がなされていると認めるA評価を取得しました。

DBJとClassNKは、本プログラムの広がりを通じて、海運事業者の脱炭素への移行に資する取り組みをサポートし、海運業界全体の脱炭素化へ共に歩んで参ります。

*EEDI規制は、新造船を統一の燃費指標で評価し、一定値以下とすることを義務づけるもの。船種ごとの規制値が段階的に強化される。


【本船概要】

(提供:飯野海運株式会社)

2.本船概要
船名GAS INNOVATOR(IMO番号:9958688)
船種アンモニア運搬船
貨物積載容量23,000m
建造造船所現代尾浦造船


飯野海運について
飯野海運は1899年に創業し、東京を本社として外航海運業・内航海運業・不動産業を展開しています。外航海運業では、原油、LNG、LPG、石油化学製品、乾貨物などのエネルギー資源およびその関連製品の輸送に特化した船主およびオペレーターとして、全世界で輸送サービスを展開しており、2023年12月末時点でVLCC4隻、ケミカルタンカー36隻、ドライバルク船20隻、大型ガス船8隻、小型ガス船24隻の合計92隻を保有・運航しています。
飯野海運グループは、2023年5月に中期経営計画「The Adventure to Our Sustainable Future」を策定し、気候変動を始めとするサステナビリティへの取り組みを強化しています。海運業においては、2030年までにトンマイル当たりの温室効果ガス排出量を2020年度比で20%削減、不動産業においては、温室効果ガスの排出総量を2013 年度比で75%削減、2050年まで全社でカーボンニュートラル達成の目標を掲げ、革新的な技術への投資を積極的に進めています。

ClassNKについて
一般財団法人日本海事協会(ClassNK)は、人命および財産の安全、環境保全への貢献を使命に、非営利の第三者認証機関として、検査、証明、規則制定、研究開発などを行う船級協会です。
本会は、海上輸送ビジネスに関わるお客さまが日々の事業運営においてGHG排出量の計画・管理を行いながらゼロエミッションの追求をしていくための包括的サービスとして、「ClassNKゼロエミッション・サポート・サービス」を展開し、第三者認証機関としての役割を通じ、持続可能な発展への貢献に努めています。

DBJについて
企業理念「金融力で未来をデザインします~金融フロンティアのたゆまぬ開拓を通じて、お客様及び社会の課題を解決し、日本と世界の持続的発展を実現します~」に基づき、サステナビリティ経営の実現・地域経済の活性化に向けたお客様の取り組みを積極的に支援して参ります。DBJでは第5次中期経営計画(2021年5月20日付「第5次中期経営計画について」参照)において、投融資を通じて持続可能な社会に貢献すべく「GRIT戦略」(注)を推進することとしています。DBJは、今後も持続可能な社会・地域活性化への貢献に取り組んでまいります。
(注)G:グリーン社会の実現、R:しなやかで強い安心安全な地域・社会や産業基盤の構築、I:事業化可能と評価できるイノベーションへの取り組み、T:現在の事業基盤を前提とした移行に向けた戦略的取り組み、を表すもので、第5次中期経営計画においてDBJグループが重点的に取り組む分野を表したものです。

Zero-Emission Accelerating Ship Financeについては、こちらをご覧下さい。

ClassNK - EOD

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